メッキ加工の新たな技術開発にまい進 女性活躍や多様な働き方実践で評価
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自動車部品や建設機械などの金属部品へのメッキ加工および熱処理を行う、1935(昭和10)年創立の吉野電化工業株式会社
漆塗りからメッキ加工へ
1914(大正3)年、社長吉野正洋さんの曽祖父で漆塗り職人だった吉野由次郎さんが、漆器や仏具の修理を越谷で開始。1935(昭和10)年に吉野工業所として、塗装業を始めた。以降、金属や樹脂へのメッキ加工、熱処理加工も行うなど、時代のニーズに合わせて事業を拡大してきた。
金属や非金属にも、身近な物に施されているメッキ加工
メッキ加工は、金属やプラスチックなどの非金属の固体表面に金属を成膜させる技術で、腐食を防止したり、見た目を美しくしたり、耐摩耗性や電気伝導性などの新たな機能を付与したりできる。身近な物では、車の燃料部品やエンブレムなどの外装部品、水栓レバー、デバイスのコネクターの接点部分など、幅広い部品にメッキ加工技術が使われている。執行役員で研究開発部部長の杉山敦史さんは「ほとんどの工業製品はメッキ加工されています。よくよく見ると、みなさんの身の回りはめっき製品で囲まれているかもしれません」と話す。
従業員一人一人の状況に配慮しながら、働きやすい環境を整備
従業員は223人で、女性の割合は3割弱。近年は、介護休暇や時短勤務なども含めた就業規則の改正も行った。研究開発部課長の多賀谷理子さんは「産休や育休の取得を推進していて、さらに一人一人の状況に配慮し、寄り添う体制ができている」と話す。女性躍進推進や子育てサポートが優良な企業として評価され、埼玉労働局から「えるぼし」「くるみん」の認定を受けている。
幅広い世代が働き、従業員同士が交流できる場も
60歳が定年のところ、希望があれば65歳まで働くことができ、部署によっては80歳代の従業員もいる。若手からシニアまで幅広い年齢層が働いていることから、歓迎会や社員旅行など、交流を深めるためのイベントも行っている。長く活躍する従業員がいることや、産休・育休からの復帰推進、男性の育児休暇取得推進などの実績が評価され、埼玉県から「多様な働き方実践企業」としてゴールドプラスランクの認定を受けた。
地域文化の醸成にも力を注ぐ
近隣に住む子どもたちに、メッキを身近に感じてもらい、理科や科学への興味関心を高めてもらうため、学校や近隣施設に出向き、出前実験教室を開いている。1999(平成11)年から始めて、これまでに2500人以上の児童が参加。顧問の鈴木俊昭さんは「人材育成や地域貢献につながれば。今後も続けていきたい」と話す。さらに、地域文化の醸成にも力を入れていて、合唱団の定期発表会やクラシックコンサートへの協賛もしている。
新しいメッキ技術の開発に注力
研究開発部では、次世代技術の開発に力を入れている。2014(平成26)年に、コスト削減・低環境負荷・工程簡略化できるゲルメッキを開発。同年、革新的で将来性のある技術・製品に取り組む企業として、第3回 渋沢栄一ビジネス大賞奨励賞を受賞した。最近では、軽量素材として注目されている炭素繊維材料へのめっき、電磁波から人や装置を守る電磁波シールドめっきを開発している。
メッキを通して社会貢献していく
2018年に経済産業省から「地域未来牽引企業」に選定され、2019年には「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれるなど、多方面から評価されている。鈴木さんは「素材や製品に『安全性』『安定性』『効率性』『環境適応性』をもたらすメッキ技術を開発し、社会貢献しながら成長していくべく、従業員一丸となり取り組んでいく」と話す。
概要
吉野電化工業株式会社
〒343-0813 埼玉県越谷市越ヶ谷5-1-19
TEL 048-951-1111