伝統工芸から出発 時代を見極め設備投資し、OEMやオーダー品まで幅広いニーズに対応

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1960(昭和35)年に創業した松﨑紙工株式会社。段ボールや各種包装資材一式を製造・販売する。

伝統工芸品の制作から段ボール製品の製造へ転換

社長の松﨑義一さんは松﨑家の8代目。もともと家業は越谷の伝統工芸品「越谷だるま」や、こいのぼりの制作だった。松﨑さんの父、故・庄蔵さんが27歳のとき、これからは段ボール製品のニーズが増えると考え事業を転換。段ボール製品を製造・販売する松﨑紙工株式会社を創業した。

顧客のニーズに合わせたさまざまな段ボール製品を製造

製造している段ボール製品は、箱の上下に開閉できるフタがある形状の「A式」をはじめ、弁当箱のようにフタと箱の部分が分かれている「C式」のものなどがある。そして、顧客のニーズに合わせ、製品の設計から行うこともある。松﨑さんは「製品はA式が8~9割を占める。お客さまから『このような段ボール箱がほしい』というオーダーを受け、製品の設計や材質選びから、印刷についても提案して製造することもある」と話す。

段階的に設備投資し製造の一部を自動化へ

大手企業のOEMも手掛け、製品は日本各地に配送、販売している。近年は、ほぼ自動で製品が作れる機械や、10センチ角の段ボール製品が作れる最新の機械を導入した。松﨑さんは「ネットで商品を購入すると、大きすぎる段ボール箱で商品が届くのがもったいないと気になっていた。機械を導入したことで、さまざまなニーズに合わせ、小さい箱から大きい箱まで作れるようになり、小さい箱は同業他社からの発注もある。全自動の機械は、製品の安定供給のためでもあるが、従業員が働きやすい環境づくりのためでもある」と話す。

ゆとりある勤務体制で、働きやすい職場に

現在従業員は30人。定年は60歳だが、シニア層の従業員を募集することもある。週に2~4日ほど働きたいというシニア層や女性従業員に対応し、さらになるべく休暇が取得できるようにゆとりある勤務体制にしている。働きやすい環境づくりのために、自動化を推進するだけではなく、女性の力でも重さのある段ボールを移動できるような仕組みを作ったり、工場内に冷暖房を設置したりするなど心を配っている。

イベントに定期的に参加し、地域貢献も

毎年開催されるイベント「こしがや産業フェスタ」には、2008年ごろから毎年出展している。段ボール製で、塗り絵ができる組み立て式の貯金箱3種を合計で3000個提供したり、段ボールで作った遊具を用意したりしたことも。松﨑さんは「市民の皆さんに楽しんでもらいたいという思いと、段ボールでこのようなものを作ることができると、子どもたちに段ボールの可能性を感じてもらいたい。出展することで、当社の認知度が少しずつ上がっているとも感じている」と話す。また松﨑さんは商工会議所の役員を長年務めるなど、地域内の企業とのつながりも大切にしている。

段ボールの可能性を追求

「段ボールは建物にも使われていたり、さまざまなものが作れたりするなど可能性は大きい」と松﨑さんは力を込める。また段ボールは捨てる部分がなく、全てリサイクル可能であるため、リサイクルにも積極的に取り組んでいる。今後も、幅広いニーズに対応できるように時代を見据えて設備投資し、省力化や合理化にも力を入れていく。

概要

松﨑紙工株式会社

〒343-0045 埼玉県越谷市大字下間久里1325
TEL 048-975-2222

http://www.mzaki.co.jp/
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