枠にとらわれずに制作を続け、伝統を未来へ 従業員の主体性を大切にし、働きやすい環境づくりも

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1964(昭和39)年設立の、五月人形の製造・卸売販売を行う株式会社大越忠製作所。3代目の大越保広さんが代表取締役を務める。
祖母から受け継ぎ、伝統的手工芸品「越谷甲冑」を作り続ける
大越保広さんの祖母の故・大越忠さんが1955(昭和30)年 4月に東京都荒川区で創業。1962(昭和37)年に現在の越谷に移り住んだ。埼玉県の伝統的手工芸品に指定された「越谷甲冑(かっちゅう)」の五月人形は、金工、漆工、皮革工芸などの技術を使う。大越さんは、祖母から受け継いだ本や、膨大な資料を調べ、細部にわたって検証・検討し、甲冑制作に反映させている。9割は手作業の甲冑制作は、かぶとは2000、よろいは5000にもおよぶ工程を経て作り上げる。

従業員の主体性を尊重。勤続50年の社員も
従業員は12人で、うち8人は女性。近隣に住んでいる人が多いという。大越さんは「五月人形はお祝いもので、小さな傷一つも見逃せない。精密な手作業が必要。これまでの経験から、細かいところに気を配ることや、イメージ通りに作るのは女性の方が得意なようだ」と話す。勤続50年の関根茂さんは「18歳の時、看板を見て興味を持った。本物の甲冑を見て感激し働き始めた。制作時には、私もアイデアが思いついたときは意見を出し、それが取り入れられることもある。イメージが具現化されたときはうれしい。」と笑顔を見せる。大越さんは従業員の主体性を尊重し、育児や介護のための休暇取得もしやすいように業務を柔軟に調整しているという。


越谷アルファーズの甲冑も制作。地域文化も一緒に盛り上げる
越谷の地で60余年。地元とのつながりは多い。2023年には、越谷商工会議所や銀行などから、越谷ひな人形組合にバスケットボールチーム「越谷アルファーズ」をイメージした伝統工芸品制作の依頼があり、同社は甲冑を制作した。大越さんは「アルファーズのファンの方から喜びの声をもらっている。私自身、アルファーズへの思い入れは強く、応援している」という。今後も、できることがあれば地域とつながることができる取り組みや、協力をしていきたいという。「越谷にはおもしろいことをしている人がたくさんいる。皆さんと一緒になって、本業の伝統工芸だけではなく、さまざまな地域貢献もしていきたい」と。

枠にとらわれず新商品を次々と開発し、空港で人気の商品も
会社を継いだ当初から、少子化や節句離れで、五月人形の需要が減っていくことを危惧していた大越さん。五月人形を制作する際、芸術作品をはじめ、ジャンルを問わずさまざまなものからインスピレーションを受け、商品に反映している。大越さんは「枠にとらわれない商品作りを意識している。また、五月人形だけではなく、甲冑作りの技術を使い新しいものが作れないか常に考えている」とも。2012(平成24)年に制作をはじめた、一升瓶やワインボトルなどに着せる甲冑「ボトルアーマー」。徐々に人気に火が付き、現在は成田空港や中部国際空港 セントレアなどで販売。月に50本程度売れることもあるという。そのほか、ブレスレット「武(ツワモノ)」、「甲冑時計伊達政宗」、日本刀に見える靴べら「甲冑刀靴べら」など甲冑の技術を応用して、越谷ならではの伝統工芸を多くの人に知ってもらえるよう新製品開発にも日々まい進している。


伝統工芸息づく越谷市で、新しい挑戦を
「従業員と一緒にアイデアを出し合ったり、新しいものを考えたりするのが楽しくてしょうがない。かけがえのない時間」と目を輝かせて話す大越さん。「甲冑などに興味がない人にも興味を持ってもらいたい」「節句文化を取り戻したい」という強い思いで制作を続けていて、外部からのコラボレーション依頼も途切れることがない。大越さんは「今後も新しい挑戦をしていく。越谷には甲冑に加え、ひな人形を作っているところもあるなど、伝統工芸が息づいている。うまく連携していけたら」と意欲を見せる。


概要
株式会社 大越忠製作所
〒343-0805 埼玉県越谷市神明町1-39-2
TEL 048-962-1166
