災害ボランティアの経験から開局したラジオ 安心安全なまちづくりの一助に

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2012(平成24)年3月に創業した株式会社エフエムこしがや。越野操さんが社長を務め、越谷のコミュニティーFM放送局「ハローハッピーこしがやエフエム」を運営する。

市民や地元ミュージシャンがパーソナリティーを務める

越谷市、草加市、八潮市、吉川市、三郷市、松伏町、春日部市をはじめとして、東京都や千葉県の一部やインターネットでも視聴できるラジオ放送局。地元のミュージシャンやタレント、市民ら30人がパーソナリティーを務め、約80番組を放送している。交通、行政などの「情報」、子育てや教育、防災などの「教養」、アーティストがパーソナリティーを務める「音楽」、バラエティーなどの「娯楽」をテーマとした番組がある。

阪神淡路大震災のボランティアで浮かんだ疑問

子育ての合間にボランティア活動していた越野さん。1995(平成7)年1月に発生した阪神淡路大震災の時は、4年間ボランティアに通った。越野さんは「倒壊した家屋や焼け野原など、甚大な被害を受けた現地の様子を目の当たりにしてぼうぜんとした。ライフラインはストップしているし、情報はどこからもらえるのかと疑問に思ったことがずっと頭に残っていた」と振り返る。2010(平成22)年、越野さんは肺がんを患い入院。「自分の死が頭をよぎった。やり残したことは何かと考えたところ、災害時に役立つラジオ局の立ち上げだった」と開局の理由を明かす。

地域に密着。市民の声をラジオに

普段からラジオを聴いてもらうことが有事の際にも役立つことから、幅広い年齢層にアプローチする番組作りに力を入れている。若い世代向けの「Hi!Hi!School Life」は、高校の放送部が学校で制作したものを放送。子育て世代や子ども向けの「キッズ防災隊員の防災標語」は、小学生が出演し市内のイベントで防災ミッションをクリアしたら防災隊員に認定するという番組。放送局長の棟方智子さんは「地域に密着し、市民を主役にして明るく楽しい話題を取り上げている」と話す。

1人何役もこなし、番組を制作

勤務は曜日制。番組表通りに進行させたり、行政のプレスリリースや防災協定を結んでいる警察などからの連絡事項を放送したりしている。棟方さんは「パーソナリティーは、まちに出て情報を集め、取材、編集、放送まで一連のことを手がける。地域企業のCM制作、営業などまで幅広くこなす。見えない部分で大変なことも多いが、自分たちで動くことで内容に深みが出て良い番組ができる」と話す。

ラジオの本領を発揮した豪雨災害

市内に浸水被害が出て、避難指示が発令された地域もあった2023年6月2日からの豪雨。棟方さんは「地域の人たちが不安になる程の大雨。夜で暗い上、防災無線がかき消されるほどの雨の音だった」と振り返る。棟方さんをはじめ従業員は、可能な限り情報を集めて深夜2時から生放送を開始。3日未明にかけて防災対策、避難所の開設情報などを放送した。

AIを活用し、情報格差を減らしていく

ひととおりの情報を放送した後は、不安を感じているリスナーに寄り添うような番組内容に変更。棟方さんは「ラジオは声で温度感が伝えられる。リスナーさんから『隣にいるような感覚で安心できた』などの感想をもらった」と話す。生放送中に、リスナーとSNSやメールでやりとりしていたところ、日本語が分からない外国人からもメールが来た。「翻訳機である程度対応したものの、必要な言語は英語だけではないので、言語に対して課題が残った。ゆくゆくは、AIを使う多言語放送で情報格差を減らしたい。パーソナリティーの人命を優先させることが必要な際にもAIを活用して放送できたら」と棟方さん。

ラジオを聴く文化を作りたい

2022年には行政とタイアップして、防災情報を受信すると起動し、防災無線も聴くことができるラジオ「防災ラジオ」の販売を始めた。越野さんは「ラジオは安心・安全なまちづくりの一助になるだけではなく、市民が元気になるような情報発信をして、人、モノ、イベントなどをつなげることができるので、まちの活性化にもなると思う。『ラジオを聴く』という文化を作っていきたい」と力込める。

概要

株式会社エフエムこしがや

〒343-0845 埼玉県越谷市南越谷1-4-54 南越ビル2F

https://koshigayafm.co.jp/
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