種採りから始める循環型農業  地域の農業担い手育成にも力

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農業や農産物加工品の販売、農業体験プログラムを提供する遊佐農場。遊佐謙司さんが代表を務める。

幼い頃の経験から農業に興味を持つ

幼い頃、両親と共に埼玉から福島に移り住み、山も川もあるのどかな場所で暮らした遊佐さん。畑で野菜を育てる両親を手伝うこともあった。大人になって再び自然と触れ合いたいと思い、内装装飾品のメーカーで営業や商品企画をするサラリーマンとして働きながら、市民農園を借りて作物を育てていた。趣味で始めたものの次第にのめり込み、農業大学校に通ったり、埼玉県の小川町で農業を学んだりした。

営業の仕事から農家に転身

サラリーマン時代に会社の都合で2回も転職を余儀なくされた経験から、次第に手に職を付けて自立したいと思うようになった。小川町で有機農業を学んでいる時、鶏ふんや牛ふんを肥料にしたり、育てた作物から種を採ってまた作物を育てたりなど、幼い頃に慣れ親しんだ風景に再び出合う。「私にとっては見慣れた昔の風景だった。自分の子どもにも同じ体験をさせたい、越谷で有機農業をやりたいと思った」と話す。2015(平成27)年、46歳で脱サラして本格的に農業を始めた。

種の採取から始める農業で、在来固定種を育てる

越谷市内の合計6千坪の農地で、麦、米をメインに、キュウリ、トマト、ナス、葉物野菜など在来固定種40〜50品種を育てている。農業のコンセプトは「種をまく~育てる~食べる~種をとる」。自作の作物から種を取って栽培し、地元の人に買ってもらう循環型農業で地産地消100%を目指している。「農薬や化学肥料は使わない。虫や草と共存する、自然な環境で育てている」と遊佐さん。

(麦踏みの様子)

青果販売店「遊佐農場」も運営

大手スーパーなどに野菜を卸したこともあったが、どこにでもある野菜と違い、あまり馴染みのない在来固定種であることと、価格が少し高い野菜は売れ残ることがあった。売れ残りを持ち帰って近所に配って回ったこともあり、遊佐さんは頭を悩ませた。マルシェイベントで、野菜の説明をしながら販売すると売れる。「それなら農家の自分が店を持って売ればいいのでは」と考え、2018(平成30)年から古民家複合施設「はかり屋」内に店を構え、野菜販売を始めた。2026年1月には、旧日光街道沿いに店を移転した。

うどんやクッキーなど独自の加工食品も販売

店では野菜のほか、自作の麦を使う「越谷黒うどん」や麦茶をはじめとして、クッキー、玄米麺、ミューズリーなどの加工商品を販売。遊佐さんは「加工すると賞味期限が長くなる上、地域の土産として手に取ってもらいやすい。生産、加工、販売まで行って農業を6次産業化し、今後も商品を増やしていきたい」と話す。

農業の担い手も育成

2017(平成29)年から、農地内で、農業に興味がある農業初心者に向けた講習付きの貸農園「やさいづくり教室」を始めた。2023年には、より本格的に農業が学べる「越谷循環農業塾」を開始。塾を卒業後、農家になった人もいる。「販売店のスタッフは、貸し農園を借りている人。畑のスタッフは、元パン職人。食べ物の素材などについて興味を持ち、作物を作りながら、販売用クッキーも作っている」と話す。

食料の自給率を上げたい

農業の担い手が減っている今、少しでも食料の自給率を上げたいと考える遊佐さん。「農業は厳しさもあるが、自給自足や地産地消の大切さなどを学ぶことができる。越谷から、日本から農地が減少しないようにしたい。家庭菜園でもいいと思う。食べ物に関心を持つ人を増やし、少しでも自給自足という文化を広げていけたら」と話す。

概要

遊佐農場

〒343-0818
埼玉県越谷市越ケ谷本町1-22

https://yusanoujou.com/
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